外用薬の塗布でシミを治す
しみを薄くしたり、消すための治療法はいろいろな選択肢があります。内服薬、レーザー治療、ケミカルピーリングなど。そんな中で、多くの方に抵抗のないものの一つが外用薬、塗り薬ではないでしょうか。ここでは、しみの改善に使う外用薬について解説します。
しみの薬:外用薬の塗布
目次
しみに対する外用薬には、どんなものがあるの?
しみができる原因として、紫外線によるメラニン色素の沈着があります。
肌に紫外線が当たった際のダメージを最小限に抑えるため、メラノサイトと呼ばれるメラニンを作り出す細胞が活性化し、チロシナーゼという酵素によってメラニンの前駆物質であるチロシンが、メラニンに作り替えられます。そうしてメラニンが増え、日焼けをしたり、しみができやすくなる、というメカニズムになっています。
このようなしみに対して、医療機関で処方される外用薬の成分としては、代表的なものが二つあります。一つはハイドロキノン、もう一つはトレチノインと呼ばれる成分です。それぞれについて詳しく見てみましょう。
しみに使用する外用薬の成分その1:ハイドロキノン
作用の仕方
ハイドロキノンは、メラノサイトそのものに働きかけてメラニンの生成を抑える一方で、チロシナーゼという酵素の働きを抑制し、強力にしみに働きかけます。一般に市販されている美白化粧品などにも、このハイドロキノンを配合した商品がありますが、病院で処方されるものは、ハイドロキノンが5%以上含まれる、特に高濃度のものです。
デメリット
効果が非常に高い反面、肌への刺激も強く、肌やしみの状態に合わせて正しく使用しないと、かぶれて皮膚が赤くなってしまったり、ひどい場合には顔の皮膚がただれて剥けてしまうといったことも起こります。必ず、医師から自分専用に処方されたものを、正しく決められた通りに使用することが大切です。
しみに使用する外用薬の成分その2:トレチノイン
トレチノインもハイドロキノンと並んで、しみに効果が高いことでよく知られる成分です。
作用の仕方
トレチノインは、ビタミンA誘導体として知られるレチノイドの一種であり、皮膚表面の細胞の代謝を活性化し、メラニンが沈着している部分を素早く剥がして排出することで、しみを薄くする効果を期待する、というメカニズムになっています。
肌にトレチノインを塗ったすぐあとは、表皮の剥離が起こり、1か月半くらいの間その状態が持続します。
デメリット
市販の美白化粧品などにも配合されていますが、医療用はより濃度が高く、効果も出やすい反面、副作用も強く出やすくなっています。状態を見ながら微妙なさじ加減で塗布を繰り返しますので、熟練した医師のもとで治療を受ける必要があります。また、赤ちゃんへの影響を考慮し、妊婦さんは使用できません。
まとめ
しみに対する改善方法として、軟膏などの外用薬を用いるメリットの一つは、内服薬やサプリメントと異なり、ピンポイントで成分を行き届かせることができる点にあるでしょう。ここでご紹介したのは、主に医療として皮膚科で処方される外用薬についてですが、毎日使用するスキンケア用品にも、医薬品ほどではないにせよ、ハイドロキノンやトレチノインが配合された、美白効果を期待できるものが数多く出回っています。
また、皮膚科でしみの治療を行う際は、より確実に効果を得るために、内用薬と外用薬のダブルで治療をしていくことが多いようです。
この記事の監修医師
- 院長
- オラクル美容皮膚科 院長 古市 雅子
- 経歴
- 2004年3月 東海大学 医学部 卒業
2006年3月 東海大学医学部附属病院 臨床研修 終了
2006年4月 東海大学医学部附属病院 麻酔科医勤務(標榜医取得)
その後、美容皮膚科にて院長などを歴任
2017年4月 オラクル美容皮膚科 東京新宿院 院長を務める - 所属学会
- 日本抗加齢医学会
日本美容皮膚科学会
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