トレチノインでシミを治療する
しみには多くの効果的な治療法があり、即効性のあるものではレーザー治療、じっくり治療したいという方には内服による治療など、種類も様々あります。しみの部位に外用薬を用いて治療する方法も人気がありますが、ここではそのうちの一つ、「トレチノイン」を用いた治療について解説します。
しみの医療(皮膚科):トレチノイン
目次
トレチノインとはどんなもの?どんなメカニズムで効くの?
「トレチノイン」は、「オールトランスレチノイン酸」とも呼ばれ、ビタミンのうちの一つ、ビタミンAの誘導体です。ビタミンAよりはるかに高い活性をもっています。
トレチノインはお肌の中の層に沈着したメラニン色素をより肌の表面に押し上げ、お肌の表面の古い角質などを取り除いて、排出することによってフレッシュな肌を取り戻し、しみを薄くする効果があります。また、皮膚科で処方されるほかに、ビタミンAはレチノールの形で一般的な化粧品にも配合されているものがありますが、効果はやはり処方箋が必要なもののほうがはるかに高くなっています。お肌に対するピーリング効果や、コラーゲンやヒアルロン酸をお肌の中で増やすことで張りのあるフレッシュな肌を取り戻す効果などがあることから、肌が油っぽくなりがちであったり、しわやニキビに悩まされている方などにも人気があるようです。
「トレチノインを用いた治療の行い方とメリット」
トレチノインを用いて、しみをターゲットとした治療を行う場合、多くは「お肌の消しゴム」などと呼ばれているハイドロキノンと組み合わせて使用されることが多いようです。
ハイドロキノンはチロシナーゼと呼ばれるメラニン色素を合成する酵素の働きを抑える作用、およびメラノサイトと呼ばれるメラニン色素を作る細胞そのものにも働きかける成分で、今あるしみを薄くすると同時にこれからできるしみを予防する働きをする非常に優秀なしみのお薬の成分です。このハイドロキノンとトレチノインを組み合わせて治療を行うことで、相乗効果もありより効果的にしみを薄くすることができます。また、トレチノインに関しては、少量ですがもともと私たちの体の中にある成分ですから、効果が高いにも関わらずアレルギーなどの心配が少ないことも大きな魅力ですよね。
トレチノインを用いることで起こりうる副作用とは?
「トレチノイン」は非常に効果が高い治療法である一方、イメージとしてはお肌のターンオーバーをお薬によって何度も起こすような治療になるため、お肌が薄くなること、乾燥してひりひりしたり赤みが出てしまったりすることがあることが知られています。また、ハイドロキノンにも、赤みやしみのあった部分が元の肌よりも白く抜けてしまうなどの副作用が出る場合もありますので、使用方法や使用期間は必ず皮膚科専門医の指示に従って、慎重に治療を進めるようにしましょう。
まとめ
「トレチノイン」はビタミンAの誘導体であることから、内服による催奇形性の恐れがあり、たとえ外用であっても妊婦さんや授乳中の方は使用しないようにしましょう。また、このお薬を用いたしみの治療中は、お肌が非常にデリケートになっていることから、新たなしみを作らないためにもいつも以上に日焼け止めや帽子などの紫外線ケアはしっかり行うことが望まれます。また、治療中はお肌が乾燥してしまうこともありますから、刺激の少ないローションなどのスキンケア用品を用いて保湿しましょう。治療後、いつまでもひりひり感が残ったり、赤みが引かない場合は、処方を受けた皮膚科で早めに相談するようにしましょうね。
この記事の監修医師
- 院長
- オラクル美容皮膚科 院長 古市 雅子
- 経歴
- 2004年3月 東海大学 医学部 卒業
2006年3月 東海大学医学部附属病院 臨床研修 終了
2006年4月 東海大学医学部附属病院 麻酔科医勤務(標榜医取得)
その後、美容皮膚科にて院長などを歴任
2017年4月 オラクル美容皮膚科 東京新宿院 院長を務める - 所属学会
- 日本抗加齢医学会
日本美容皮膚科学会
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