メラニンがシミの原因
紫外線対策は年中必要ですが、暖かくなると外にいる時間も増えるので、紫外線対策がより重要となってきます。
紫外線を浴びると、しみ、そばかすの発生や、肌荒れ等のトラブルを引き起こすことはご存知だと思いますが、紫外線を浴びた結果、どうやってしみができるのか、そのメカニズムはご存知でしょうか。
ここではしみのできるメカニズムと、その過程の中で重要となってくる「メラニン」について解説します。
しみの原因:メラニン
目次
メラニンとはどんなもの?
メラニンは黒色メラニン、メラニン色素、などとも呼ばれます。英語で「melanocytes」と呼ばれています。「melano」とは「黒い」という意味です。
このメラニンは「しみ」を作りだす原因物質だけでなく、実は肌や髪の色にも関係していて、メラニン色素が多い人ほど、髪や肌が黒く、濃くなります。そのため、加齢によってメラニン色素の生成が衰えると、白髪が出てくるのです。
メラニンは、表皮の一番内部にある「基底層」と呼ばれる層から発生しています。基底層には、「メラノサイト(色素細胞)」という細胞が存在し、この細胞内でメラニンが生成されているのです。
メラノサイトは顔だけでなく、全身のさまざまな部分、皮膚、粘膜、陰部などに分布しており、特に顔や陰部には多く存在します。陰部が他の皮膚より色が濃いのは、このためなのです。
まず、皮膚が紫外線の刺激を受けると「メラノサイト」が活性化され、メラニンを生成します。このメラニンがメラノサイトから外に飛び出し、基底層の上に存在する「ケラチノサイト(角化細胞)」と呼ばれる細胞内に取り込まれます。
ここで先に知っておいていただきたいのは、このメカニズムは私たちの肌にとって、大変重要な働きだということです。私たちの肌では、メラニンが入ったケラチノサイトが、皮膚のバリア形成を行い、紫外線から守ってくれるのです。さらには皮膚がんまでも予防してくれることになります。
「しみ」ができるメカニズム
ではどうしてメラニンが「しみ」として残ってしまうのでしょうか。
肌の「ターンオーバー」という働きについてご存知でしょうか。私たちの肌は、常に繰り返し再生しています。いらなくなった古い細胞がはがれ落ち、新らしい細胞で肌を作りだすということを自然と繰り返しています。これが「ターンオーバー」です。この中で、先述のケラチノサイトも皮膚の奥深い部分から、徐々に表面へと移動していき、約28日かけて表へ出てきます。
そのため、紫外線を浴びて発生したメラニンは、数日で表面にあらわれてくるわけではなく、ターンオーバーの働きによって時間をかけて表面に現れてくるのです。そして、皮膚として十分に役割を果たすと、ケラチノサイトは「角質」としてはがれ落ちます。
ところが、紫外線を浴びた後のケアが不十分だったりすると、皮膚全体のターンオーバーが乱れ、メラニンが入ったケラチノサイトが役割を終え、皮膚の表面に角質として出てきても、はがれ落ちることなく、どんどん蓄積していきます。結果、メラニンもどんどん蓄積していくこととなってしまい、これが「しみ」となってしまうのです。
ですから、紫外線を浴びれば浴びるほど、メラニンが多く生成され「しみ」もどんどん増加してしまいます。紫外線から守ろうとして発生したメラニンが「しみ」として残ってしまうとはなんとも皮肉なものです。
まとめ
いかがでしょうか。「しみ」を作らないためには、数日のケアではなく、長期的なケアが重要であることが、ご理解いただけましたでしょうか。
「しみ」ができるのはメラニンが原因ではありますが、このメラニンだけでなく、皮膚のターンオーバーという仕組みそのものが影響してきます。
ですから紫外線を浴びたあとのケアは、数日間では効果がありません。28日間のターンオーバーがしっかり行なわれ、メラニンが表面に出てきたタイミングで、角質としてはがれ落ちることが重要なのです。
この記事の監修医師
- 院長
- オラクル美容皮膚科 院長 古市 雅子
- 経歴
- 2004年3月 東海大学 医学部 卒業
2006年3月 東海大学医学部附属病院 臨床研修 終了
2006年4月 東海大学医学部附属病院 麻酔科医勤務(標榜医取得)
その後、美容皮膚科にて院長などを歴任
2017年4月 オラクル美容皮膚科 東京新宿院 院長を務める - 所属学会
- 日本抗加齢医学会
日本美容皮膚科学会
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