ホルモンバランスの崩れが肝斑の原因
女性の顔に左右対称にできる、茶色っぽいシミといえば肝斑ですね。この肝斑は、見た目の点からもその他の性質からも、ほかの紫外線によるシミとは異なることが知られています。
肝斑ができる原因は「ホルモンバランスの崩れ」にある?
目次
肝斑ができる主要な原因となる、ホルモンバランスの崩れ
通常、シミができる理由として私たちはどのようなものを考えるでしょうか。
やはり多くの方は紫外線、それから加齢を思い浮かべるのではないでしょうか。しかし、肝斑ができる主要な理由は、このいずれでもない、と考えられています。
では何か、というと、それが「ホルモンバランスの崩れ」ということになります。ホルモンにも、糖尿病やその治療にかかわるインスリン、うつ病との関係が取りざたされているセロトニンなどを含め、非常にたくさんの種類がありますが、この肝斑にかかわるホルモンは主として女性ホルモンと呼ばれるエストロゲンやプロゲステロンを指します。この女性ホルモンが大きく関与するという点が、肝斑が特に女性に多いシミであるという事実をサポートしていますね。
女性ホルモンの加齢や、ライフイベントなどによる変化
女性ホルモンは、私たち女性の一生において、当然いつも一定ではなく、例えば思春期を迎えたあと、毎月の生理周期によっても変化しています。そして、妊娠・出産を経験すると、ここでも非常に大きな女性ホルモンの値を経験します。妊娠・出産を境にして、頬やおでこなどに肝斑が現れる方は多いといわれます。それから、女性ホルモンを調節することによって月経不順をコントロールしたり、避妊に用いられたりするピルも、使用したことが、肝斑ができるきっかけになったりする場合もあるようです。そして、女性も50歳前後になって閉経を迎えると、肝斑はどんどん薄くなっていくことが多いようです。
こういった特徴のある肝斑ですが、前述した事柄から女性ホルモンの関与が濃厚に疑われてはいるものの、どのような人に発生しやすいのか、発生の詳しいメカニズムなどまだまだわかっていない部分もあります。
肝斑はホルモンバランスだけが原因なの?
このように、肝斑とホルモンバランスの関係について書いていくと、肝斑はホルモンバランスだけによって起こったり、濃くなったりするシミのように誤解されがちですが、もちろんそのようなことはありません。肝斑も、特に濃くなる際には紫外線の影響を受けると考えられますし、例えばストレスなどによっても目立つようになってしまう可能性があります。
また、肝斑も20代以下には比較的少なく、30代に入ってから出現することが多いので、ほかのシミと同様、加齢やそれに伴うお肌のターンオーバーの低下も一つのファクターではあると思います。また、肝斑をほかのシミと同じように通常のレーザーで消そうとすると、刺激を受けて却って濃くなってしまうといわれています。また、肝斑はアジア人女性に多く、白人、黒人にはあまり見られないという点は、遺伝的な要因の関与も疑わせる要因となっています。
まとめ
年を重ねると、シミ・しわに始まってたるみやくすみなど、若いころには見られなかった多種多様なスキントラブルに悩まされることが多くあります。しっかりケアをしないと、どんどん問題が大きくなってしまうトラブルが多い中で、閉経を迎えると改善が見込める、というのはお肌のことだけを考えると希望が持てるようにも思います。
ただ、肝斑は、ちょっとした刺激で濃くなりやすい、取り扱いの難しいシミとしても有名です。扱うときは、皮膚科などの機関で受診し、正しいやり方でそっと扱うようにしましょう。
この記事の監修医師
- 院長
- オラクル美容皮膚科 院長 古市 雅子
- 経歴
- 2004年3月 東海大学 医学部 卒業
2006年3月 東海大学医学部附属病院 臨床研修 終了
2006年4月 東海大学医学部附属病院 麻酔科医勤務(標榜医取得)
その後、美容皮膚科にて院長などを歴任
2017年4月 オラクル美容皮膚科 東京新宿院 院長を務める - 所属学会
- 日本抗加齢医学会
日本美容皮膚科学会
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